うしのおちちの備忘録

AtCoderや日記、自然言語処理などについて書きます。

2019年NAIST受験記(情報科学専攻)

本日NAISTの合格発表があり、無事合格しておりましたので受験のまとめを書いていきたいと思います。すでにM1で秋入学という少し特殊な状況ではありますが、基本的な流れは同じなのでお役に立てれば幸いです。なお2019年度の秋入学入試ですので、募集要項・配点・Q&Aなどは公式ページなどで最新の情報を参照してください。

受験の経緯

私はすでに1年前に自大学の大学院の院試を受験しており、入学も決まっていました。それなのにどうして今頃NAISTを受験したのかと言うと、D進するなら早くからやりたい研究をしたいと思ったからです。詳しい経緯は割愛します。

概要

NAISTの入試は以下の採点要素があります。

  • 小論文
  • TOEICTOEFLなどの成績
  • 学部の成績
  • 数学(面接)
  • 面接

今年度の入試から配点が公開されており、書類(学部の成績など)50点、英語30点、数学30点、面接(小論文含む)90点になっています。学部の成績と面接でほぼほぼ決まってしまいそうな勢いです。また、NAISTの特徴として数学の試験が面接形式で行われます。詳しくは入試本番のところで触れますが、計算力などよりも論理的に問題が解けているかなどを重視しているようです。

準備(英語編)

自大学の入試でTOEICを受験していて、790点だったので受け直す必要もないかと思いそのまま提出しました。ちなみに入試に関するQ&A | 情報科学領域 | NAIST 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学によると、NAISTの日本語受験者の平均は670点だそうです。
が、900点を超えるような受験者もいるようで、中央値はもっと低いのではないかと思います。だいたい600点台あれば足を引っ張ることはないのではないでしょうか。

準備(数学編)

数学は面接形式で行われます。線形代数2問、解析2問が与えられ、それぞれ1問ずつ選んで解説しながらホワイトボードに解いていきます。範囲も今年度から?教科書が公開されています。

選抜方法等について : 情報科学研究科 | NAIST 奈良先端科学技術大学院大学

私は解析の方だけ購入して、線形はネットに落ちていた目次だけみました。が、マセマシリーズなどの一般的な大学生向けの教材で十分カバーできるのでわざわざ買う必要はなかったと思います。もし解析の教科書が欲しいと言う方がいれば、メッセージをいただければメルカリ等で格安でお売りします。

数学も自大学の院試である程度勉強していましたので、学部時代に使った教科書を使って演習を中心にさらっとなぞるくらいで終わらせました。もし1から勉強される方は、マセマシリーズの評判が良いようです。本屋で見ましたが、講義形式でたしかにわかりやすいと思います。

NAISTのホームページで問題例が公開されていますが、基礎的な問題のようなので、地道にマセマシリーズの線形と微積の演習問題を身につけていけば十分だと思います。

準備(小論文)

小論文は以下の2つの課題について記述するようです。

  • これまでの修学内容(卒業研究)について
  • 本学において取り組みたい研究分野・課題について

2つの課題のどちらをどれだけ書くかは指定されていませんが、私はこれまでの修学内容を4分の1くらい書きました。その中に、NAISTを受験する動機を書きましたが、課題の範囲外だと思うので、結論の部分で少し触れるくらいにすればよかったと思っています。

取り組みたい研究分野・課題については

  • 動機
  • 背景,社会的・学術的意義
  • 先行研究
  • 課題
  • アプローチ

の構成で書きました。とりあえずサーベイしたり、オープンキャンパスに行ったり、教授が書かれた書籍を読んだりして課題やアプローチを考えました。具体的なアプローチは思いついていなかったので、方向性だけ書きました(こんな課題があってこんなアプローチも研究されているけどまだまだ十分に議論されてないし、そういう方向で研究していきたいみたいな感じ)。

書き終わって、志望研究室の博士の方に添削をしていただきました。本当にありがとうございます(最後のアプローチの節は添削で指摘していただいて追加しました)。

何から始めれば良いの!って方は、研究室のホームページから発表された論文を読み漁ることから始めると良いと思います。小論文を一般公開するのはまだ少し怖いので、メッセージをいただければお見せします。

小論文に沿って面接をするので、理解していない内容を背伸びして書くよりも、理解できる範囲で最善を尽くして分野への興味、動機をアピールした方が良いと思います。

入試当日

宿泊

入試前日はゲストハウスせんたんに宿泊したかったのですが、受験票を受け取った時点で満室だったのでビジネスホテルに泊まりました。

私は学園前駅という駅周辺で探しました。NAIST周辺で交通アクセスを考えるとここらへんがベストだと思います。NAISTまでバスで30分くらいです。2つくらい一応リンクを貼っておきます。

www.superhotel.co.jp


www.toyoko-inn.com

2つとも学園前駅から電車で10分かからないくらいのところです。大阪メトロの中央線から生駒駅で乗り換えしていけます(田舎者なので乗り換えナビに従いました)。

(追記)別の機会に利用したんですが,オークホステル奈良がNAIST圏内で最安ではないかと思います。
oakhostel.com
私が泊まった時はドミトリー(2段ベットがいっぱいある部屋)で一泊2000円でした。ただ、同じ部屋でたくさんの人が過ごしているし、外国人もたくさん利用しているので,試験前日でゆっくりしたい人は東横とかにしたほうがいいです。近鉄奈良駅のすぐ側なので、立地的には前述のホテルと大差はありません。とにかく安く済ませたいひとにはおすすめです。

受験まで

私は13時からだったんですが、11時頃ついたので図書館で暇をつぶしました。面接では3分程度で小論文の内容をプレゼンしないといけないので、その練習をひたすらしていました。図書館で待機している受験生はあまり多くなく、雰囲気もいい感じだったのでよかったと思います。

12時40分から受付を開始して、受験控え室にいきます。オープンキャンパスで説明会があった場所でした。13時がくると順にアンケート、面接に進んでいきます。私は最後だったので1時間20分くらい待ちました。待機している間は、電子機器は使用不可ですが紙媒体のものならば自由にみて構わないようでしたので、線形の教科書をぼーっと眺めていました。

アンケートは、専願か併願か、どこでNAISTをしったかなどの簡単なもので、面接時に面接官が参照できるようでした。

数学

アンケートの後、問題閲覧室にいって問題を10分間見ます。白紙の計算用紙も使用できました。幸い線形も解析も基本的な問題があったので、ほっとしながら一通りときました。

解いた問題は

  • {A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}}

(1)固有値固有ベクトルを求めよ。

(2)対角化せよ。

(3){A^n}を求めよ。

  • {\int_{1}^{\infty} e^{- \alpha x} \left( \log x \right)^2 dx}ただし{\alpha > 1}

(1){t = \log x}とおいて置換せよ。

(2)積分値を求めよ。

でした。変換行列?は直交行列にしないのかな?と思いましたが固有ベクトルをそのまま使うように指示されていました。

その後、面接室に進んで2人の面接官に説明しながら解いていきます。解き終わったときに、おしいねぇ〜と言われました。結構自信があったので、説明不足とかで減点があるのかもしれないです。

面接

数学が終わると別室で面接があります。まずアンケートの内容について確認され、小論文についてプレゼンするように言われます。かなり練習したおかげか、つまることなくスラスラ言うことができました。その後色々質問されますが、

  • 卒業研究について入力と出力の確認
  • 卒業研究の新規性・工夫した点
  • 修士修了後のキャリアプラン
  • どうしてこのタイミングでNAISTを受験したか
  • 卒業研究ではプログラムを何行くらい書いたか

くらいでした。どれも回答を用意していた質問だったので答えられましたが、面接官の反応は良くもなく悪くもなくでした。NAISTでしたい研究についてまったく質問がなかったので、そんなにひどい内容だったのかと落ち込みました笑

まとめ

面接におびえていましたが、深くつっこまれる質問はなく拍子抜けした感じでした。NAISTの募集要項では

基礎学力、研究に対する意欲、潜在的な研究能力を総合的に評価します

とあります。基礎学力や潜在的な研究能力は数学、英語、小論文で見ると思うので、面接ではなぜわざわざNAISTにいきたいのか、研究分野についてどれだけ興味をもっているのかが大きな評価基準になっているような気がします。

小論文でもやる気を表現できますが、面接でそれについて深く答えられないと、あぁこいつはどっかの論文かなにかから引っ張ってきただけで興味をもって調べてはないんだな、みたいになると思います。それが一番最悪の事態だと思うので、面接の対策も兼ねて小論文をしっかり書くことをおすすめします。

質問等がある方は気軽に連絡をいただければと思います!この記事がNAISTを受験する方の助けになれば幸いです。